2021年12月8日〜10日の3日間、「エコプロ2021」が開催されました(主催:一般社団法人サステナブル経営推進機構、日本経済新聞社)
環境配慮型製品・サービスに関する一般向け展示会で、会場となった東京ビッグサイトには3日間を通し合計54,885人の来場となりました。
今回は下記のように出展した際の来場者の声や事例などについてご紹介いたします。
・来場者の声
・出展者の声
・見えてきた課題
・サステナブルイベント事例
・今後の課題
来場者の声
来場される方の多くは企業の環境への関心が高い方が多いと予想していましたが、意外にもビジネスライクに捉えている方も多くいた印象です。
”エコプロなのにエコじゃない”
そう語る来場者は少なくありません。
イベント産業の廃棄の多さに気がついていて、あらゆる指摘をしている場面が多く見受けられました。
・使い捨て造作物の多さ
・紙資料の多さ
・パンチカーペット
・資料入りエコバッグの配布
・ネックストラップ
・名刺を何枚渡されたかわからない…
など
あらゆる点で廃棄が生まれ、リサイクルに回されているものも結局サーマルリサイクルとして燃やされている点に違和感を持った方が多数いらっしゃいました。
そしてその様な方は次の未来を見据え、ソリューションを探されている印象を受けました。
いわゆる成長分野と捉え、次のような声がよく聞かれました。
”自社のアピール方法としての環境はもはや必須”
なぜエコプロに来場されているのか聞くと
”取り組まなくてはいけないのはわかっているが、何から初めて良いのかわからないそのヒントやアイデアを探しに来た”
”実践してくれるところが少ない”
”環境の基準が各社バラバラで客観性がない”
また来場者の中には学生(小学生〜大学生)も多く、積極的な姿勢に驚かされると同時に
彼らにこう言われているような気がしました。
”あなた達大人が作ったシステムのせいで私達の未来が脅かされている。あなた達がなんとかしてくださいよ。”と
出展者の声
出展者様と情報交換をするためSENでは出展者への取材も行いました。
そこで聞かれたのはこの様な声でした。
”イベントに出展するだけでかなりの廃棄を出すことは以前からの課題だが現状カーボンオフセットが唯一のソリューション。しかし、それだけでは廃棄をなくすことに繋がらない”
”「ただ素材を変えるだけ」だけでは意味のない”
”廃棄物がリサイクルされるなら、今まで通り出してもいいことにはならない”
”来場者の方が環境への意識が高い”
”紙の資料やノベルティなど受け取らない人が増えてきている”
そしてこの様な意見まで
”エコプロ主催者が環境基準を設定してほしい”
見えてきた課題
ここから見えてきた課題は
来場者=一般生活者として捉えた時に、我々サービス提供側が追いついていないのではないか?
出展者=企業だとしたら選ばれるためには新たなソリューションが必要で、生活者へ合理性のあるPRが必要なのではないか?
という仮説を立てるとすると
それはテクノロジーで解決する必要がありますが、その際に注意することは新たなソリューションによって新たな犠牲者、新たな汚染先に転換していないか?を見極める必要があります。
また、足りていないのは生活者へ情報開示という点が合理性あるPRと強く結びつくと感じています。
これらの課題を解決する必要があります。
根本的に解決する方法を探っていて、知るフェーズ⇛実践するフェーズへと移行しています。
サステナブルイベント事例
展示内容についての詳細は東京観光財団(TCVB)様に先進事例として取り上げていただいたのでそちらをご参照ください。
【ごみゼロのビジネスイベント目指す:サステナブルイベントネットワークの取り組み】
日本語版
https://businesseventstokyo.org/ja/featured_topics/202201212917.html
英語版
https://businesseventstokyo.org/featured_topics/202201222918.html
今回の展示で合計10社のサプライヤーの皆様と一緒にこのコンセプト展示を行いました。
記事で紹介されていない事例をご紹介させていただきます。
①ロスフラワー
ロスフラワーとは売れ残りや規格外、イベントなどで使用された後の廃棄される予定の花のことを指します。
生花店の35%ほどの花が廃棄されているそうです。花業界の大量生産・大量消費という流通構造が主な要因となっています。
表彰物や卓上の装花、イベント会場の入口などに置くお祝いの花などイベントでは至るところで目にします。しかし、これらの花はイベントが終了すると全て廃棄されてしまいます。
ロスフラワーであっても美しさは変わりません。コサージュや表彰物、展示装飾の一部として利用することで捨てられる花を減らすことに貢献することができます。
②間伐材ストロー
2018年に発生した⻄日本豪雨災害の一因が山林の水源涵養機能の低下にあること、解決には雨水を蓄える森林の力を高める間伐作業などの管理が重要であることを知ったことがきっかけで誕生しました。
木のストローの効果
・脱プラスチック
・間伐材含む国産材の活用促進
・減災に寄与
正しく森林を管理することに貢献すると同時に、森林を健康的に保ち本来の機能を再生させることが、結果的に水害などの人的被害を未然に防ぐことにも繋がります。
将来的には、地産地消や障がい者‧シルバー人材雇用への発展、自立支援などにも貢献することも進めているようです。
また2022年4月から施行される「プラスチック資源循環促進法」により対象者と対象製品が定められました。飲食店を対象にこの「ストロー」が品目として定められており、業界はこの様なソリューションを血眼になって探しているとのことです。
③昆虫食
現在、牛をはじめとする畜産業が排出する、温室効果ガスが、地球環境に大きなダメージを与えていることが問題視され、近年、代替タンパク質が普及しています。
タンパク質1kgを生産すると温室効果ガス排出量は…
牛の場合:2.8kg
こおろぎの場合:0.1kg
また必要な水の量、飼料の量が圧倒的に少ないのにも関わらず
そのタンパク質量は牛肉と比べて約3倍も多く含まれています。
環境に優しく、効率よくタンパク質を摂取することが可能となるためあらゆる環境問題、社会課題を解決する手段として注目されています。
極端な例ではなく、実際に専門店や高級レストランなどで提供されるなど味も見た目もクオリティがますます上がっている注目の食材として重宝されはじめています。
④もみ殻/コーヒーかす × アップサイクル
イベントのノベルティを選ぶ選択肢として「エコかっこいい」商品が選ばれるようになってきました。
原料はコーヒーかすやもみ殻を利用し展示にあるようなノート、ボールペン、カトラリーのみならずタンブラーやココナッツの皮からできたエコバッグなどサステナブルなノベルティから変えてみてはいかがでしょうか?
⑤壁面パネル
この壁面パネルは過去のイベントで使われて捨てられる予定だった廃棄物を使って作られています。新規素材は一切使わず、接着剤も使っていないため使用後は取り外し分別し適切に処理します。
イベント廃棄物には様々な種類があり、 すべてを管理するには資源の流入と流出を把握する必要があります。流出とは使用された後にどのように処理されるかということです。
リサイクル可能資源を使っていたとしても、適切に処理されないと焼却や埋立をされ資源としての価値を失うことになります。この資源の流出を食い止める必要があります。
⑥廃棄衣類パネル
「PANECO®」はアパレル企業などから回収した廃棄衣料品や製造工程
で発生する端材などの繊維素材が用いられています。
布だけでなく皮革などのさまざまな繊維を、硬質かつ加工しやすいサステナブルな循環型繊維リサイクルボードとして再生します。ディスプレイ、イベント、家具などで使用された「PANECO®」は、使用後に回収し再び循環型繊維リサイクルボード「PANECO®」としてリサイクルすることができます。
一度使い切りで設計するのではなく、組み立て式で何度も使えるようにすることが可能です。
ボードとしての耐久性、加工性が高くデザイン性も高いことから素材そのものを見せる展示をすることで周りを覆うための貼り紙が必要なく使用される資源を最小限に留めることができます。
おまけ
日本初のきのこブロック開発
エコプロで大変人気だったきのこパネルですが、展示当日にはごく一部しか展示されませんでした。本来であればブース自体をきのこで作ることも考えていましたが、多くのコンセプトを見せることに専念したため一部のご紹介でした。
現在、試作が完成しているのが
・きのこブロック
・きのこランプシェード
・きのこチェアー
・きのこパネル
の試作が完成しており、お披露目は2月24日、25日に行われる
サステナブルブランド国際会議2022にて
発表させていただきます。
また、様々な有機残渣の活用を考えられている企業様と共同で開発を進めています。
写真はきのこブロックのみご紹介させていただきます。
後日、発表後のレポートを公開させていただく際に詳細をお伝えさせていただきます。
新たなソリューションとしてのサステナブルイベント
我々が目指すのは
「イベントをやればやるほど環境や社会を良くする」
つまり
”イベントとしての魅力を損なうことなく、自然環境の保護と再生、健康で包括的な社会の促進、繁栄する経済の支援に向けた行動をイベントに取り入れ、イベントという力を使って様々な社会課題を解決する”
企業がサステナブルに取り組む手法としてのイベントとしてご活用いただくために我々のソリューションとしての価値を皆様と一緒に作り上げて参ります。