〜サステナブルイベントのためのガイドライン〜
SDGsへの取り組みにおいて、具体的行動指標は網羅されていないため事業の持続可能化を進める上で、独自基準ではなくガイドラインに沿った取り組みであれば効率的に効果を最大化することができます。
各業界で環境対策の削減目標を設定され、今まで以上に定量化/数値化が必須になっており、ブロックチェーンなどの技術を駆使し、サプライチェーン全体の環境負荷の測定や、透明性ある情報の追跡ができるサービスが続々登場しています。
イベント産業、いわゆるMICE産業においても例外ではなく、イベント遂行に関わる全てのサプライヤーの協力のもと取り組みを推進しなくてはなりません。交通・宿泊・イベント制作・その他手配、これら全ての産業を巻き込みながら推進することを意味します。
しかし産業構造が複雑化している現在において産業全体に共通理解を得るのが困難だからこそ基準・ガイドラインが必要であると考えています。
〜サステナブルイベントを行うメリット〜
まず初めに、サステナブルイベントとは何なのかを定義付ける必要があります。
「イベントとしての魅力を損なうことなく、自然環境の保護と再生、健康で包括的な社会の促進、繁栄する経済の支援に向けた行動をイベントに取り入れ、イベントという力を使って様々な社会課題を解決する」
つまり
「イベントを行うだけで環境や社会、経済を良くすることができる」
環境の側面だけが注目されがちですが、環境に負荷をかけないのならオンラインイベントに移行することが最も効果的です。しかし地域社会への包括的な貢献や人と人との繋がりや循環を生むことは出来ません。
サステナブルイベントは、環境だけではなく資源の循環、人の循環、情報の循環をイベントを起点に生むことで更に世の中を良くすることのできる新しいイベントの手法だと言われています。
〜必要となる背景〜
今の世の中を見ていると大型経済対策やGoToトラベル事業などにより
「コロナ前の経済を取り戻すぞ!」
と経済の再生にばかり目が向けられているように思います。
最新の国家経済回復対策では化石燃料補助などへの継続的な支援が盛り込まれており、
環境問題、社会問題が無視され
「短期的な利益偏重型の再生」
にしかならないのでは無いかと危惧されています。
「経済を回すには環境負荷はやむなし」ではなく「経済と環境負荷を分離する」いわゆるデカップリングが必要であり、それには現状を知り、改善していくことが求められます。
「いわゆる従来型のビジネスではなく産業全体で積極的に取り組まなければならない問題であり、各企業が本質的な実践に移行すれば大きなビジネスチャンスになり得る一方、企業が遅れを取れば、最大の循環型のビジネスチャンスは他社に奪われ、徐々に姿を消すか、規制に適合せざるを得なくなる」
もはや、現代にフィットさせるためには必要な投資とも言われています。(参考:OECD)(引用:JETRO)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2016/01cc0dd1eb518393/eu201612rp.pdf
〜「Build Back Better」(より良い復興)の鍵〜
MICEと密接な関係にあるツーリズムでも需要の高まりから「Googleマップでエコ認証マークの導入や移動におけるCO2」、「Booking.comによるサステナブルホテル認証」など基準となる認証制度を始めました。これからますます選択する基準にサステナビリティが導入されることになり、サステナビリティツーリズムが重要視されているのがわかります。
(参考:Google)(参考:Booking.com)
コロナを期に今一度イベントやツアーを行う意味を整理し、根本から見直すことで「Build Back Better」(より良い復興)ができるのではないでしょうか?
そして、その鍵を握るのが「サステナビリティガイドライン」です。
プロローグ
今回は2019年3月にTokyo MICEサステナビリティ ガイドラインを作成した
公益財団法人 東京観光財団(以下、TCVB)のコンベンション事業部
部長 戸田様
安島様のお二人にお話をお伺いしました。
話していて思ったのですが、MICE産業がサステナビリティに取り組むにはハードルが高い気がしていましたが、それは全く逆でした。
国際会議など様々なビジネスイベントをアシストするTCVBから見るMICEサステナビリティは
「サステナブルなMICEでなければ生き残っていけない」
という危機感がある一方で推進する立場の視点では
「MICEサステナビリティ推進を最大限サポートしたい」
それは力強い言葉でした。
今回は
「主催者としてのサステナビリティ」
「サプライヤーとしてのサステナビリティ」
この両方の側面から探っていきます。
知るフェーズから実践するフェーズへと移行する全ての方々のお手伝いをこの記事でできればと考えています。
SDGs」「脱炭素」への関心の高まりは下記グーグルトレンドのデータからも読み取ることができます。
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