サステナブルイベントとは何か?

目次

サステナブルイベントとは

「環境や社会に良い影響を与えることの出来るイベント」と

「今まで通りの環境負荷の多いイベント」だと(従来のイベントの環境負荷についてはこちら

これからのイベントのあり方としてどちらが優先されるでしょうか?

 

サステナブルイベントとは、前者のようにイベントとしての魅力を損なうことなく、自然環境の保護と再生、健康で包括的な社会の促進、繁栄する経済の支援に向けた行動をイベントに取り入れ、イベントという力を使って様々な社会課題を解決することとサステナブルイベントネットワークでは定義しています。

 

それは、これからの企業活動にとって株主・経営者・従業員・顧客・取引先のほか、金融機

関、行政機関などのあらゆるステークホルダーから取り組みが期待されています。

 

意思決定を左右する2つの要素

単に環境に良いと聞くと、コストが掛かるというイメージがありますが、イベントプランナーの方々が重視しているのは予算です。

予算の中で企画し、ROI(費用対効果)を高めていきます。

そしてサステナブルなイベントを推進していくには意思決定者の合意を得なければなりません。その行程で特に重要視されるのが

 

「圧倒的に面白い」

「コストが安い」

 

この2点のどちらかが優れていると「圧倒的に面白いだけでなく・・・しかも、環境にもいい!」と一石二鳥、いや、一石三鳥にもなり得るのではないでしょうか?

 

2つのアプローチ

サーキュラーシンキング

インクルージョン&ダイバーシティ

 

イベントは、資源、社会、環境に大きな負担をかけ、多くの廃棄物を発生させます。

サステナブルイベントネットワーク(以下SEN)ではサーキュラーエコノミーは経済の仕組みなのでイベントにフィットさせる必要がありました。

私たちは「サーキュラーシンキング」が重要だと考え、サーキュラーエコノミー(以下CE)の3つの原則を取り入れ、イベントをデザインします。

リンク:「サーキュラーエコノミーがイベント産業のあり方を変える」の記事へ

 

引用:Circle Economy「https://www.circle-economy.com/」SENにて翻訳

 

この図はCEの資源の流れを表したものです。

左から採掘→精製→製品化→販売→利用

そして一番右(赤い部分)まで行ってしまうと廃棄され焼却か埋め立てされることになり、これを「リニアエコノミー」(直線的な経済)と呼び、これまでの社会は経済成長を軸にして、このリニアエコノミーにより物質的な快適さをもたらしました。

 

しかし「この経済の仕組みはすでに崩壊している」としています。これまでは環境、社会、経済に与える影響があまりにも大きいのにも関わらず、消費を続けてきました。つまり、環境破壊による負のコストを外部化してきたと言えるでしょう。

 

CEでは廃棄という概念を捨てた新しい経済の仕組みで、内側にとどまればとどまるほど環境負荷が少ないことがわかると思います。また忘れてはいけない点として再生可能エネルギーを利用していることです。

 

なぜなら例えば一番右の使い終わった後、一番外側の円(バイオサイクル)で処理を考えてしまうと、搬送、製造、販売までに少なからずエネルギーがその分かかることになります。

一方、一番内側の円(修理)では製品をメンテナンスするだけの行程なので比較するとエネルギーは最小限に抑えられ再度使うことが出来る。

このような考えでイベントも設計の段階から使い終わった後にどう処理するかまでを考えて設計する必要があると考えています。

 

ではサーキュラーシンキングでイベントをデザインする場合、どのように考えていくと環境負荷を減らせるでしょうか。

 

Design out waste and pollution廃棄物・汚染などを出さない設計

「デザインアウト出来ないか?」と考え、設計段階からなくす方法を考えます。

解決方法はさまざまですがそもそも常設のステージがパンチカーペットが不要な作りになっているところもあります。そういう場合は利用を避けます。

ですがそうもいかない場合はステージ上の安全面とデザイン性を確保するものでなければなりません。

 

Keep products and materials in use製品や資源を使い続ける

次に「使い続けられないか?」と考えます。

何度も再利用できるように出来ないか?既に素材として存在してしまっているものを再度製品に戻して使い続けることも重要です。

例えば、ECONYL®「ECONYL® brand at the Pre-Oscars Sustainable Style Event. Not only beautiful carpet, but also clothing」では「レッドカーペットの”グリーン化”」を行っています。ECONYL®で使用される繊維はAquafilによって開発されました。原料は放棄された漁網や廃棄された使用済みカーペットなど、さまざまなナイロン廃棄物が使用されています。

また、使用後はAquafilに送り返され、そのまま使用できるものは再利用され、使用感のあるものはリサイクルされ新たなカーペットとしてその役目を果たします。

 

また、パンチカーペットはロールで使用されることが多いため特性上、洗浄が出来ず一度使ったら廃棄するしかありませんでした。

東リ「リサイクルシステムや独自のメンテナンスシステムによる 長寿命化の推進」最大の特徴は正方形のタイル型になっているので、取り外して回収して、洗浄することができるので再度同じものを使い続けることが出来るモデルを採用しています。さらに何度も使い続けると、多少劣化してしまいますが、古くなったタイルカーペットを原料に戻して、再度新しいタイルカーペットとして資源を無駄にすることなく使い続ける仕組みを採用しています。イベントで使うカーペットとして利用できないものかと模索中です。

 

Regenerate natural systems自然のシステムを再生する

最後に重要なのは「自然のシステムを再生する」ことです。簡単に言えば、今まで地球から搾取してきた資源を再び地球に還すために自然のエコシステムを再生することを目指すということです。

化石燃料でできたもの(プラスチックなど)、または汚染物質を含んでいるものは地球に還すことができない※1 ため問題となっているのです。

環境を守るだけではなく、再生不可能な資源の使用を避け、どうしても必要な場合は再生可能な資源に置き換えることでも環境負荷を軽減できる場合があります。

最終的に自然に戻すことのできる素材を使い、できるだけ長く使い続け、最終的に役目を終えたら適切に処理するところまでを考えます。

すると廃棄を出さず自然を再生する手助けをパンチカーペットで達成することができるようになると言えるでしょう。

 

※1 WWF「プラスチック汚染問題の解決に向けた最新報告書を発表」によると「自然界のサイクルの中で容易に分解、吸収されないプラスチックは、環境中に非常に長期間にわたって残留し、海や陸域の生態系に、深刻な影響を及ぼし、人体への影響も懸念されています。」

 

 

 

インクルージョン&ダイバーシティ

地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」

SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。

 

イベントにおいても持続可能性を高めるにはインクルージョン&ダイバーシティへの配慮でイベントの可能性を最大限に引き出すことが出来ます。

多様性を歓迎し、包括的なイベントが期待されています。

一般的に想像がつくのジェンダー平等や人種の多様性だけでなく、年齢、宗教、身体能力、経済状況、教育レベルなど、さまざまな状況や要素が含まれていなければなりません。

 

多様性をイベントに取り入れるメリットは2つあります。

①参加者の幅を広げ、様々な意見を取り入れることで、イベントをより魅力的なものにする

②インクルージョン&ダイバーシティへのコミットメントを証明する最もわかりやすい方法

 

食材の選択肢を増やす

人は誰でも好き嫌いがあります。ほとんどの人は、宗教、環境、健康、ライフスタイルなど、他の信念体系と結びつけて食べ物を選んでいます。

また、ナッツ、乳糖、グルテンなど、特定の食品にアレルギーを持つ人もいます。食事を伴うイベントを開催する場合は、参加者が自分の好きな食べ物を食べられるようにしなければなりません。

 

内向的な人に適したネットワークの選択肢を考える

イベントの企画を進める際、一体感を醸成する施策として「全員を巻き込んだ施策」を検討することがよくあります。

しかしインクルジョーンを語る際、内向的な人もいることや人混みや会話が苦手な人もいることを考えないで検討を進めることがあります。

例えば、内向的な人の多くは、イベント(少なくとも人脈作り)が苦手で、そのプロセスに疲れてしまうため、イベントを避ける傾向にあります。しかし、イベントに内向的な人向けのアクティビティを盛り込むことで、そのような人でも参加しやすくなります。

 

また、多くの内向的な人は、人混みをストレスに感じるので、会場のあちこちに、人混みに戻る前にくつろげる場所を用意しましょう。オンラインでのイベントが増えた今、イベントアプリやソーシャルメディアのグループを使って、事前にネットワーキングを始めることもできます。

内向的な人でも、実際にイベントに参加する前に、バーチャルで打ち解け、何人かの人と知り合うことができます。リアルイベントがオフ会のような利用の仕方も今後必要なアプローチなのかもしれません。

内向的な人は、外向的な人と同じように、良いイベントを好みます。彼らが必要としているのは、全ての人に対して快適さを考慮したイベントなのです。

 

参考:Backstage「How to make your events more diverse and inclusive

 

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